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十字王・3


「しばらくそうしているがいい。なに、悪いようにはせん。
 ゆくゆくはわが手足となって働いてもらうのだからな。」

扉があき、悠々と歩くバリスタと入れ替えになるように
待機していたテックボットが入ってきた。

T-20110”メイル”とT-60050”ハルベルト”どちらも姿は違えど重装甲とパワーを持つ。
暴走時の『抑え役』として連れてきたのだが、それを利用されてしまった形になった。
二人とも瞳の表示が虚ろである。意識はないようだ。
まるで門番とでもいうように、扉の近くに身構えたまま動かない。


「性能テストとしゃれ込みたいが・・・あの王様を野放しにしたらいろいろマズいんじゃねえか?」
「あの思考に加えてジャックの存在・・・。
 むやみに外に出せば騒ぎになるのは確実ですね。」

二人の会話はおそらく見張り役には聞こえてないだろう。
聞かれたとしても問題はないが。

「見張りを置いてるってこたぁ、俺たちの手の内はばれてるらしいな。
 もったいぶる必要はないんじゃないか?大将よ。」
この状況をさっさと解決してくれ、といわんばかりの言葉に、多少呆れたような
語気をまぜながら、アームが応える。
「・・・わかっているでしょうが、あまり多用はできませんよ。」
「さっさと片付けてやればいいだけの話だ。違うか?」

バリスタのジャック能力は、ロボットの『無意識』に作用して操る機能。
つまり、それを意識し、警戒していれば思考までを乗っ取られることはない。
それでも現在の通り、体は自由に動かせないのだ・・・が。

「おい、門番さんよぉ」

動けないはずのブレイドは、メイルの後ろに回り込んでいた。
意識のないメイルは驚くこともせず、拳を振りかぶっている。
同時にハルベルトもブレイドに寄りつつ、武器を両手で構えた。

メイルの拳を余裕でかわし、ハルベルトの斧を背から抜いた剣で防ぐ。
一瞬の押し合いの後下方に受け流し、ふたたびメイルの拳をかす。
ハルベルト、メイルが同時にブレイドに攻撃をしかけようと自らの武器をふりかざした瞬間・・・
二人の動きが固まり、ほどなくして力なく、地に倒れこむ。

二人の背後ではアームが両手を広げていた。

ジャックされてを操られていた二人の体を
その原型であるアームの能力により”操り返して”強制的に
機能を停止させたのだ。

「しかし、人使いの荒い上司を持つと苦労するぜ。」
皮肉交じりの笑みを浮かべるブレイド。

ブレイドの体が動かせたのも、ジャックされて異常を起こしていた制御回路を
アームが正常な状態に乗っ取りなおしたから、ということである。
意識のある状態で制御回路を操作するのに時間がかかってしまったのは否めないが・・・


幸いか、研究施設は隔壁で物理的に閉鎖されている。
まだ武器を与えられていないバリスタにそれを破壊することは不可能だ。

「王様きどりのお遊びにつきあってやる義理はありません。
 面倒を起こす前に早急に確保しなければ。」

「おたがい離れないほうがよさそうだな。
 ・・・アンタと正面切って喧嘩するのはごめんだぜ。」


そういって向き合った二人は
揃って試験室から駆けだしたのだった・・・



ここでいったん区切り。ここまでが前編となります。
後編へ続くー。

ちなみにサーベル、ロンデル、ハルベルトの三体は
日頃お世話になっているアカサカさんが考えてくれたキャラです。

テーマ : 創作・オリジナル
ジャンル : アニメ・コミック

十字王:2





・・・待て。冷却ファンだと?
なぜ電源の入っていないバリスタから冷却ファンの音がする?
アームのほうに目をやると、すでに彼はバリスタのそばにいた。

「小癪な・・・狸寝入りとはずいぶんとなめたマネをしてくれますね。」

カウントが0になる前に、バリスタの口元がゆがむ。
「・・・誉めてやろう。」

カウントが0になると同時に、メンテナンスベッドからバリスタが跳ね起き
足を組んでベッドに腰掛ける。
「ゼロと同時に貴様らの首をはね・・・
 さっさと外に出てやろうと思ったのだがな。
 余の崇高な計画に気づくとは、流石は現指揮官というべきか?」
にやり、とした笑顔でバリスタ。

「ブレイド。わかっていますね?」
「・・・はいよ。大将。」
・・・当然ながら。
カウントよりも前に起動するなど今日の実験予定の中にはなかった。
『想定外の事態』だ。

「ふむ。余をここから出さぬと申すか。
二人がかりとは。なかなかに手ごわいな。


・・だが。」

 瞬間、扉の外からガオン!!というような音がする。
 外で何かが暴れているような音だ。

「先に扉さえ開ければ、後は簡単なものだ。」


「・・・ッ!!やりやがったな・・・!」
扉の外で待機しているテックボットたちが暴れているのだ。
そして、厳重だった扉がいとも簡単に開く。
「ご苦労であるぞ。・・・ふふ。コントロール範囲も上々だな。」

言うなればアームの後継機・・・バリスタ。
バリスタが後継機、そして試験機たる理由はその能力のためだった。

『ジャック』

ありとあらゆる機械のコントロールを奪い取る能力。
・・・さっきから身体の自由が効かないのもそのせいだ。

テーマ : 創作・オリジナル
ジャンル : アニメ・コミック

十字王:1

思い立ったが吉日!ってわけで久々にスピンオフを書いてみた。
こっから本文な。





「ん・・・?」
メインルームの前通路に入ると、ブレイドの嗅覚センサーが芳しい香りを察知する。
コーヒーの香りだ。
「やっほー、ブレイドー!」
茶色の猛禽類のような小柄なテックボット・・・スピアが宙を滑って近づいてくる。
「・・・サイゼムの仕業か。」
スピアの手にマグカップを見つけると、ブレイドは ふっ 、と息を吐いた。
「サイゼムってば砂糖とミルクありったけ入れちゃってさ。子供なんだからぁ。
 ま、ボクは牛乳と練乳があれば問題ないけどねー」
同族嫌悪、似た者同士だな。
やれやれと思いつつ、メインルームに入る。コーヒーの香りが一段と強くなる。
「おかえりなさいませブレイドどのっ!」
「お疲れ様にございます!御大将!」
似たような口調と声で似たようなことを大声で叫ぶ、色以外似たような見た目の二人。
サーベルとロンデルがブレイドを迎える・・・いや、迎えるというか『抑える』だな。
サーベルがサイゼムの手を抑え、ロンデルがコーヒーメーカーを引っ張っている。
「ええい!御大将の分まで渡すわけにはいかぬっ!!」
「淹れたての時にいないブレイドが悪いんだよ!ケラケラケラケラ!!」

「サイゼムめが我らの分まで奪い取りっ・・・さらにはブレイドどのの分ま
「いらねえ。」
部屋の隅で、クラブラーが「ですよねー」といった顔をしている。
サイゼムの嗜好品好きには呆れたものがある。
とはいえ、好きなものを追求する・・・『欲望』というのは嫌いではない。

(コーヒー・・・か。)
情けない話、コーヒーには嫌な思い出・・・人間風に言うなら『トラウマ』というヤツがある。

・・・あれは、俺たちテックボットが起動した数か月後。
今から・・・


-某日某時刻某所。
アームズテック社・起動試験室

「ほぉ。こいつが新型・・・か」
「開発ナンバー『00030』・・・バリスタ。」
部屋の中央付近に位置したメンテナンスベッドの周囲で技術者たちが作業をしている。
それを遠巻きに見つめるアームとブレイド。・・・そして部屋の外にも、テックボットが数体待機している。

「ずいぶんと厳重な警備だなァ。そんなに危ないヤツなのかい?旦那よぉ。」
「事前に説明をしたはずですが?・・・実際に起動してみなければ判断はできないでしょうね。
 ・・・危険性をはらんでいるのは確かですがね。」
説明を受けていることはわかっている。堅物のアームをからかってやろうと思っただけだ。

00030。この数字の羅列が意味するものは、このガラクタが試作品であるということだ。
試作型というより試験機、新機能の実験機であることを意味する。

-[起動準備完了。職員は至急退避してください。]-
アナウンスのあと、技術者が分厚い扉をくぐって部屋を出ていく。

10・・・9・・・8・・・
数十秒ののち、カウントダウンが始まり、バリスタの冷却ファンの音が鳴り始める。
プロフィール

山

Author:山
オリ人外キャラ好きのCURURU難民です。
創作系の漫画や小説やってます。
本拠地はここ

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