ep01-3
何とか間一髪のところで攻撃をかわすが、攻撃のかすった制服はボロボロになっていく。
「うぜぇな。ちょろちょろしやがって。」
「・・・」(どうやらこれはオモチャじゃあ無いみたいだな・・・!!)
説明書は熟読した。だが、うまくやれる自信は無い。
(・・・いや・・・うまくやれるかなんて関係ない・・・!!
やるかやられるか・・・!!)
一か八か。Metalを突き出す。
「よこす気になったのか?それとも・・・」
「よこさない方に決まってるだろ・・・!」
親指と中指で左右の認証スイッチを。
人差し指でピックのような基盤・・・メタルカードを押さえる。
「トライアル!!」
ピコン!という電子音の後、アナウンスが流れる。
-Password authentication. Decompression beginning. -
-TRIAL-
「おぉおお?」
一瞬の光の後、鍔輝の右腕と両脚に、何か機械が装着される。
腕には刀のようなものが、脚には・・・ブースターがそれぞれセットされている。
「いい感じじゃねぇか。俺が頂いたぁ!!」
刈真のチェーンソーがうなり声を上げ、頭上に飛び掛ってくる。
「・・・ッ!!」
ゴウッ!
右へのステップの瞬間、ブースターが火を噴き、予想をはるかに越えたスピードで跳躍する。
「うっ・・・お・・・!」
「・・・マジパネェだろソレ・・・うらぁ!」
チェーンソーの攻撃。右腕をとっさに出すと折り畳まれていた刀が展開した。
ガキィン!!
「ぐぁ・・・硬ってぇ・・・!!」
刈真がひるんだ一瞬のスキをついて、後方に走る。
説明書によると、Metalとは・・・
データの入った『メタルカード』と、それを読み込み、解凍する『ドライバー』がセットとなった
超大容量物質記憶デバイスである。
解凍された機械には、どこかにドライバーが制御コアとして組み込まれている。
つまり。それを破壊すれば・・・
「逃げてんじゃねぇぞコラァ!!」
激昂した刈真がこちらに走ってくる。予想通りだ。
後は・・・
ゴオォ・・・ドォン!
ブースターを使った大ジャンプ。
鍔輝は突進してきた刈真の頭上を飛び越える。
振り向きざまに、背中を見ると・・・あった。制御コアだ。
「おおおおおっ!」
ザンッ・・・!!
「んー・・・あの子、なかなかセンスあるんじゃない?先生。」
「そうね。初戦でここまでMetalを使いこなすなんて・・・運命かもしれないわね。」
坂金 刈真はその後、警察に御用となった。
Metalは、コアを破壊するとその時点で機能を停止し、解凍されたままの状態となる。
今回は当たり所が悪かったらしい。コアは派手に爆発し、刈真は気絶。
手に握られたチェーンソーが被害者の傷跡と一致し、それが決定打となったという。
「ふーん。よくそんなのと会って逃げなかったな。」
キバをはじめ、人にはMetalのことは話さなかった。
どうやら、このMetal、刈真のように他人のMetalを狙うものもいらしい。
突如始まった非常事態。もしかして、退屈な日常から脱出できるのではないか・・・
鍔輝は心のどこかでそんな期待を持っていた。
ep01
Compreat