かいぞーき!高速のレースクイーン?
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痛みはなかった。
だが、少しづつ、違和感に気づき始めていた。
痛みはないが、感覚はある。
おそるおそる、目をあけてみた。
オーナーは、目をひん剥き、扉を凝視している。
いや、その表現は正しくない。
「なんだ・・・お前は!?」
蹴破られたドアの上に、水色をした小柄の犬型ロボットが立っている。
それは姿を変え、改装機となった。
「ケイジロウ・・・さん?」
「心配で・・・尾行けて来たでありますよ!」
エイナのほうには笑顔を、そして・・・
「警察だ!!おとなしく投降するであります!」
額の桜の大紋と、厳しい目をたたきつけた!
「は・・・はは・・・!!何ができる!お前も一緒にあの世へ・・・」
パァン!
手に持ったレンチが弾き飛ばされた。
「・・・殺傷力はないが・・・次は容赦ないであります!」
小型の拳銃。オモチャ同然だが、ハッタリは効いていた。
「く・・・そ・・・っ!!」
力なく、へたり込むオーナー。
「さあ、さっさとお縄につくであります。」
ケイジロウはどこからともなく手錠を取り出す。
「・・・ざんねんだったな・・・!!」
ギリギリの、極限状態のはずだが、まだ何か余裕だ。
オーナーは壁掛け時計を見て、にやり、と笑う。
「今日のこの時間・・・また"会議"が入ってるんだよなぁ・・・
今、この場にアイツらが入って来たら・・・どうなるだろうなぁ?」
マズい!・・・ケイジロウは一瞬だがたじろいだ。
アイツら、つまりエイナを殴り、ゴミ捨て場に廃棄した男達は・・・いわゆる暴力団組員だ。
この状況では、エイナを護りきることはまず無理だろう。
万事休す・・・か。
「アイツら、って・・・コイツらのことか?」
窓の外で、飄々としているくらいの余裕の声が聞こえてくる。
窓の外には・・・
倒れた屈強そうな男達、それからその中心に立つハウンドと、
あのときの警官だった。
「ウ・・・ソ・・・だろ・・・!?」
つづく