十字王-後編- 4
バリスタが手を傾けるとロンデルの刀身が輝き、鏡のように周囲を映し出す。
「遅いな。」
言葉と同時に、目前に迫ったバリスタがブレイドに斬りかかる。
背面のブースターの調子は上々だ。
ガンッ!!
とっさに剣を動かし、それを受け止めるブレイド。
その衝撃はお互いの刀身に入ったヒビでよくわかる。
・・・しかしバリスタの次の攻撃には反応できなかった。
ビリッ・・・という感覚がブレイドの体を駆け抜ける。
顔の目前に迫ったバリスタの右腕。
本来は周辺を自動で洗脳する能力であるジャックだが
アームと同じく手をかざして直接アクセスすることで、より強力なものになる。
『意識して避ける』という手段もふさがれてしまうのだ。
「これで終わりだ。あっけないものだな。」
「・・・マズいですね・・・。」
それを見て思わずアームがもらす。心なしか表情にも余裕がないようだ。
わざわざ対策までして避けた、最悪の相手。
それが今、現れてしまった。
「さあ行け、我が騎士よ。古き時代を終わらせるのだ。」
一拍の間の後、おぼつかない様子でブレイドが剣を構え、
アームにふらふらと切っ先を向け、振り上げる。
ザンッ・・・
「ぐっ・・・ぐぁあああああっ!!!」
ブレイドの斬撃により、右腕が宙を舞い、叫び声がこだまする。
しかし、叫んだのはアームではなく、バリスタである。
「チッ、すんでに避けやがったか。
まあこれで、フィンクの分おあいこと行こうぜ。」
先ほどとは違ってしっかりと剣を握り、血振りのように剣を払うブレイド。
口元には普段のニヒルな笑みが戻っていた。
「貴様っ・・・!なぜだ・・・ジャックされたはずでは・・・っ!」
今まで見せたことのない焦燥の表情でバリスタが睨む。
「ジャックが効かないのが不思議か?なぁに。簡単な話さ・・・」
ブレイドはバリスタをあざ笑うかのように親指で自らの顔を指した。
「俺の顔に張り付いてるコレはただのお面じゃねえのさ。
直接的な電波干渉や強制アクセスを防ぐ・・・いわば”こんなこともあろうかと”ってヤツさ。
・・・王様よぉ。」
首を傾けて相手を見下すような格好をとるブレイド。
その側でアームが呆れた表情を作る。
一方のバリスタはわなわなとふるえている。
「なるほど、迂闊であった。
余が謀反を起こしたときの備えはあって当然であろうなぁ・・・!」
怒り、焦燥、その表情はやがて凶悪なほどの笑みへと変わった。
ザンッ
「しかし片手がなくともさほど違いはない。
油断大敵というやつだ。騎士よ。」
一瞬の気のゆるみが反撃をゆるし、ブレイドの胸部装甲が切り裂かれる。
斬られたのは装甲だけではあったものの、思わず片膝をつくブレイド。
「さすが現役だけあって頑丈だな、しかしこれで今度こそ・・・」
ズドン!
突如飛んできた弾丸に、バリスタの側頭部のアンテナが撃ち落される。
「いつまで遊んでいるんです?アナタ。」
振り返るバリスタの顔に迫る爪。とっさにかわして剣を振る。
・・・が、アームは肘とヒザが刀身を挟んで押さえつける。
もうろうとする意識の中、ブレイドはその光景を見ていた。
(まあ・・・ハッタリにしちゃ上出来だったか・・・)
実は先ほどの電波干渉の遮断は真っ赤な嘘。
いうなれば意地と根気で無理やり体を動かしている状態なのだ。
(俺は先にリタイヤさせてもらうぜ、旦那・・・)
震える親指に力を込めて、喉元にある緊急停止スイッチに突き立てる。
(敵に・・・まわるよ・・・り・・・は・・・・・・・・)
メイン動力炉がストップし、ブレイドの意識がシャットダウンされる。
「遅いな。」
言葉と同時に、目前に迫ったバリスタがブレイドに斬りかかる。
背面のブースターの調子は上々だ。
ガンッ!!
とっさに剣を動かし、それを受け止めるブレイド。
その衝撃はお互いの刀身に入ったヒビでよくわかる。
・・・しかしバリスタの次の攻撃には反応できなかった。
ビリッ・・・という感覚がブレイドの体を駆け抜ける。
顔の目前に迫ったバリスタの右腕。
本来は周辺を自動で洗脳する能力であるジャックだが
アームと同じく手をかざして直接アクセスすることで、より強力なものになる。
『意識して避ける』という手段もふさがれてしまうのだ。
「これで終わりだ。あっけないものだな。」
「・・・マズいですね・・・。」
それを見て思わずアームがもらす。心なしか表情にも余裕がないようだ。
わざわざ対策までして避けた、最悪の相手。
それが今、現れてしまった。
「さあ行け、我が騎士よ。古き時代を終わらせるのだ。」
一拍の間の後、おぼつかない様子でブレイドが剣を構え、
アームにふらふらと切っ先を向け、振り上げる。
ザンッ・・・
「ぐっ・・・ぐぁあああああっ!!!」
ブレイドの斬撃により、右腕が宙を舞い、叫び声がこだまする。
しかし、叫んだのはアームではなく、バリスタである。
「チッ、すんでに避けやがったか。
まあこれで、フィンクの分おあいこと行こうぜ。」
先ほどとは違ってしっかりと剣を握り、血振りのように剣を払うブレイド。
口元には普段のニヒルな笑みが戻っていた。
「貴様っ・・・!なぜだ・・・ジャックされたはずでは・・・っ!」
今まで見せたことのない焦燥の表情でバリスタが睨む。
「ジャックが効かないのが不思議か?なぁに。簡単な話さ・・・」
ブレイドはバリスタをあざ笑うかのように親指で自らの顔を指した。
「俺の顔に張り付いてるコレはただのお面じゃねえのさ。
直接的な電波干渉や強制アクセスを防ぐ・・・いわば”こんなこともあろうかと”ってヤツさ。
・・・王様よぉ。」
首を傾けて相手を見下すような格好をとるブレイド。
その側でアームが呆れた表情を作る。
一方のバリスタはわなわなとふるえている。
「なるほど、迂闊であった。
余が謀反を起こしたときの備えはあって当然であろうなぁ・・・!」
怒り、焦燥、その表情はやがて凶悪なほどの笑みへと変わった。
ザンッ
「しかし片手がなくともさほど違いはない。
油断大敵というやつだ。騎士よ。」
一瞬の気のゆるみが反撃をゆるし、ブレイドの胸部装甲が切り裂かれる。
斬られたのは装甲だけではあったものの、思わず片膝をつくブレイド。
「さすが現役だけあって頑丈だな、しかしこれで今度こそ・・・」
ズドン!
突如飛んできた弾丸に、バリスタの側頭部のアンテナが撃ち落される。
「いつまで遊んでいるんです?アナタ。」
振り返るバリスタの顔に迫る爪。とっさにかわして剣を振る。
・・・が、アームは肘とヒザが刀身を挟んで押さえつける。
もうろうとする意識の中、ブレイドはその光景を見ていた。
(まあ・・・ハッタリにしちゃ上出来だったか・・・)
実は先ほどの電波干渉の遮断は真っ赤な嘘。
いうなれば意地と根気で無理やり体を動かしている状態なのだ。
(俺は先にリタイヤさせてもらうぜ、旦那・・・)
震える親指に力を込めて、喉元にある緊急停止スイッチに突き立てる。
(敵に・・・まわるよ・・・り・・・は・・・・・・・・)
メイン動力炉がストップし、ブレイドの意識がシャットダウンされる。