キャリぞーき!!0話
シロクマさんトコからお題フられたのでコラボ小説。
十字王?・・・わ、忘れてなんかないんだからね!
7/12追記修正
「ではここにサイン、おねがいします~」
空中輸送便『carriers』の支店長キャリーがいつも通りのテンションで荷物を置いて行った。
例によってサインだけもらって配送料を忘れて帰って行ったので
例によって後でお店に届けに行こう、とカイゾーは玄関先の荷物を部屋に引き入れた。
「あら、まあ・・・またやっちゃったんですか。キャリーさん。」
だね、という意味を込めてヒーリンに頷く。
今日は居間で読書をしていたヒーリン、どうやらアロマの勉強らしく
甘い香りがほんのりと居間をただよっている。
その横ではカイタローが大きく伸び。
「突然もらった休みッスけど、たまには何もしないでノンビリするのもいいものッス!」
「・・・あ、カイタロー。もしヒマなら、あとで夕飯の買い物に付き合ってくれませんか?」
「ヒー姉・・・」
『買い物ならカイゾー先輩に付き合ってもらうッス』とそう言いかけて口を止める。
「そういえば今日の夕飯当番はヒー姉だったッスね。いいスよ。」
さすがに本人の前でいうのはいろいろと、マズいだろう。
若干「?」という顔をしているが、たぶんバレてない。
「なになに?出かけるなら私もついてくぞ」
と、昼寝から目覚めたプロムが、目をこすりながらあらわれる。
髪のハネに気づくと、指先でちょちょっ、と直した。
「じゃ、せっかくだし僕も一緒に出かけようかな。
キャリーのとこに配送料とどけてあげないと」
かくして彼らは
各自の財布とともに、またある者はエコバックとともに。
スーパーの方面へと出かけて行ったのだった。
「ニンジン、ジャガイモ、タマネギ・・・お姉ちゃん、今日のごはんはカレーだね!」
「ふっふー。そう思うでしょう?でもルーは買わないんですよ?」
ヒーリンが出がけについてきたサイカと夕飯材料を選ぶ。
その間にプロムは総菜コーナーの薫りに引き寄せられ、カイタローは店内を見回っている。
一方のカイゾーも配送料を改めて払い終え、
今度はおつりを忘れそうになったキャリーからしっかりとお釣りを受け取るのだった。
ヒーリンたちスーパー組は予定外に増えた買い物を携えて帰路についた。
神社の前を通りかかると、境内にカイゾーがひとり佇んでいる。
前巻神社。
元旦や夏祭りの時期に近隣の住人でにぎわう
どこにでもある町内の神社だ。
「なにをたそがれてるんだ?カイゾー」
プロムが近づくと、カイゾーは境内に設置された円形のバリケードを指した。
バリケードの中には十数メートルほどの穴が開いている。
「むかしこの穴に落ちたことがあってさ。
・・・その時のこと、思い出しちゃった。」
いつかの初もうで。
まだ自分とクロマル、ヒーティアしかいなかったあの頃。
ヒーティアと二人で穴に落ちた事件は今になっては思い出だ。なんとか一応。
「・・・でも。やっぱり・・・
なんかいつもと違うんだよなー。」
バリケードのすぐ横の地面にも同じような穴が開いている。
少なくとも今年の初もうでの時にはこんな穴はなかったはずだ。
様子を見ようと、なんの気なしに穴に近づくカイゾー。
近づけば近づくほど、穴の奇妙な点に気づく。
いくら地面の穴とはいえ、暗すぎる。まるで大きな影が落ちているような・・・
-・・・・・・・・・・・・・・-
「・・・えっ?いま・・・何か言った?」
周囲を見回すカイゾー。
しかしほかの4人は誰も「?」という顔。
「いや、何も言ってないッスけど・・・」
4人の中で唯一、サイカは何かしらの異変を感じ取っていた。
無意識に穴から距離を置くサイカ。
と、その時。
「な、なっ・・・なんだ・・・これ・・・っ!!」
突然カイゾーの視界がぐにゃり、と曲がる。
「なにこれ・・・なんか、ざわざわってする・・・っ
お、お姉ちゃん!みんな!!」
穴の近くにいた4人には何が起こったのかわからなかったが
穴から離れていたサイカには見えていた。
正確に言えば、サイカの特別性の目には見えた、というべきだが・・・
地面にあいた、今までなかったほうの真っ暗な穴。
その穴に4人は引き込まれてしまったのだ。
周囲に風が起こることもなく、まるで4人を選んだかのように飲み込んだ。
そして『穴』は・・・まるで何もなかったかのように、消えた。
「お、お姉ちゃん・・・?かいたろー・・・?」
人気のない境内に、サイカの声だけがこだまする。
カイゾーが次に目覚めた場所、そこは見慣れぬ部屋の一室、ベッドの上だった。
あたりを見回すと、部屋と同じく見慣れない調度品が飾られ、見慣れない絵がかかっている。
「・・・お、目が覚めたかい?」
ドアを開けて部屋に入ってきた「それ」に、カイゾーの意識は再び遠のきそうになるのだった。
つづく。
十字王?・・・わ、忘れてなんかないんだからね!
7/12追記修正
「ではここにサイン、おねがいします~」
空中輸送便『carriers』の支店長キャリーがいつも通りのテンションで荷物を置いて行った。
例によってサインだけもらって配送料を忘れて帰って行ったので
例によって後でお店に届けに行こう、とカイゾーは玄関先の荷物を部屋に引き入れた。
「あら、まあ・・・またやっちゃったんですか。キャリーさん。」
だね、という意味を込めてヒーリンに頷く。
今日は居間で読書をしていたヒーリン、どうやらアロマの勉強らしく
甘い香りがほんのりと居間をただよっている。
その横ではカイタローが大きく伸び。
「突然もらった休みッスけど、たまには何もしないでノンビリするのもいいものッス!」
「・・・あ、カイタロー。もしヒマなら、あとで夕飯の買い物に付き合ってくれませんか?」
「ヒー姉・・・」
『買い物ならカイゾー先輩に付き合ってもらうッス』とそう言いかけて口を止める。
「そういえば今日の夕飯当番はヒー姉だったッスね。いいスよ。」
さすがに本人の前でいうのはいろいろと、マズいだろう。
若干「?」という顔をしているが、たぶんバレてない。
「なになに?出かけるなら私もついてくぞ」
と、昼寝から目覚めたプロムが、目をこすりながらあらわれる。
髪のハネに気づくと、指先でちょちょっ、と直した。
「じゃ、せっかくだし僕も一緒に出かけようかな。
キャリーのとこに配送料とどけてあげないと」
かくして彼らは
各自の財布とともに、またある者はエコバックとともに。
スーパーの方面へと出かけて行ったのだった。
「ニンジン、ジャガイモ、タマネギ・・・お姉ちゃん、今日のごはんはカレーだね!」
「ふっふー。そう思うでしょう?でもルーは買わないんですよ?」
ヒーリンが出がけについてきたサイカと夕飯材料を選ぶ。
その間にプロムは総菜コーナーの薫りに引き寄せられ、カイタローは店内を見回っている。
一方のカイゾーも配送料を改めて払い終え、
今度はおつりを忘れそうになったキャリーからしっかりとお釣りを受け取るのだった。
ヒーリンたちスーパー組は予定外に増えた買い物を携えて帰路についた。
神社の前を通りかかると、境内にカイゾーがひとり佇んでいる。
前巻神社。
元旦や夏祭りの時期に近隣の住人でにぎわう
どこにでもある町内の神社だ。
「なにをたそがれてるんだ?カイゾー」
プロムが近づくと、カイゾーは境内に設置された円形のバリケードを指した。
バリケードの中には十数メートルほどの穴が開いている。
「むかしこの穴に落ちたことがあってさ。
・・・その時のこと、思い出しちゃった。」
いつかの初もうで。
まだ自分とクロマル、ヒーティアしかいなかったあの頃。
ヒーティアと二人で穴に落ちた事件は今になっては思い出だ。なんとか一応。
「・・・でも。やっぱり・・・
なんかいつもと違うんだよなー。」
バリケードのすぐ横の地面にも同じような穴が開いている。
少なくとも今年の初もうでの時にはこんな穴はなかったはずだ。
様子を見ようと、なんの気なしに穴に近づくカイゾー。
近づけば近づくほど、穴の奇妙な点に気づく。
いくら地面の穴とはいえ、暗すぎる。まるで大きな影が落ちているような・・・
-・・・・・・・・・・・・・・-
「・・・えっ?いま・・・何か言った?」
周囲を見回すカイゾー。
しかしほかの4人は誰も「?」という顔。
「いや、何も言ってないッスけど・・・」
4人の中で唯一、サイカは何かしらの異変を感じ取っていた。
無意識に穴から距離を置くサイカ。
と、その時。
「な、なっ・・・なんだ・・・これ・・・っ!!」
突然カイゾーの視界がぐにゃり、と曲がる。
「なにこれ・・・なんか、ざわざわってする・・・っ
お、お姉ちゃん!みんな!!」
穴の近くにいた4人には何が起こったのかわからなかったが
穴から離れていたサイカには見えていた。
正確に言えば、サイカの特別性の目には見えた、というべきだが・・・
地面にあいた、今までなかったほうの真っ暗な穴。
その穴に4人は引き込まれてしまったのだ。
周囲に風が起こることもなく、まるで4人を選んだかのように飲み込んだ。
そして『穴』は・・・まるで何もなかったかのように、消えた。
「お、お姉ちゃん・・・?かいたろー・・・?」
人気のない境内に、サイカの声だけがこだまする。
カイゾーが次に目覚めた場所、そこは見慣れぬ部屋の一室、ベッドの上だった。
あたりを見回すと、部屋と同じく見慣れない調度品が飾られ、見慣れない絵がかかっている。
「・・・お、目が覚めたかい?」
ドアを開けて部屋に入ってきた「それ」に、カイゾーの意識は再び遠のきそうになるのだった。
つづく。
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